空気

本日は大手広告代理店のひとつでwebドラマの打ち合わせ。
大手広告代理店といえば高給取りのギョーカイ・エリートさんですが、この人たちとの打ち合わせは面白いです。
こちらが何かアイデアを出すと「面白いですね!」と言い、そのアイデアについてたとえば監督が「いや、それは」と言うと「ですよね!」と言う。

この風見鶏みたいにくるくると変わる感じが、見ていて面白いのです。

広告代理店さんというのは、実体は何もない「空気」を売る仕事です。だからこそ、「どんな空気」なのかを常に嗅ぎ取ろうとしているような、そんな意気込みを感じます。
空気を売っているだけ、というのは何だか悪いことのように思われるかも知れませんが、いまは「たいていみんな、すでに必要なものは持っている」時代。単に商品だけではなく、それを包む込む「空気の質」こそが最も大事なセールスポイントなんですね。

実際に物を作ったり、それを売り買いしたり、それが「生産と消費」だった時代ではとっくになくなっていて、「空気込みで売る」という時代もまた過去になり、いまは「空気の質が良ければ、商品そのものはいらない」というような時代。

けれど最近のファイナンシャル・クライシスを見ていると、株という名の実体を伴わない「空気」に翻弄される世界がはっきりとわかり、そういう時代もまた、次の「時代」へとバトンを渡す時期なのだろうな、と感じます。