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リセット

というタイトルのドラマが始まったようですけど、それとは関係なくて。

いや、まったく関係ないってこともないんだけどね。

最近、DVDやら映画館やらで見ている映画たちが、こぞって「リセット」というキーワードを隠し持っているな、というお話。

今日、家族で見に行った『007 慰めの報酬』も、007という世界は今回で完全にリセットし終わりましたって感じだったです。
敵が世界征服を企むおおらかなキ印じゃなく、また身内の裏切りでもなく、まるっきりの《東部エスタブリッシュメント》の方々、という設定で、もろにこれは「現実の世界」。しかも彼らが企んでいるのは「地球規模の環境破壊を阻止するために立ち上がり、緑の地球を守りましょう」ということ。これが、悪役。
まるでCO2の削減が地球を救うキャンペーンが、じつは資源の独占と途上国からの搾取に直結している、という「いまここにある世界」そのものです。
おとぎの国の住人だったボンドが、現実世界で「愛する者を奪われた報復」を主眼として突っ走っておりました。
まさにいまハリウッドで一番リベラルな脚本家、ポール・ハギスに作品って感じです。
が、2007年前半までは、そういう「911シンドローム」の中で、「報復攻撃は資源獲得という本当の目的を隠すための方便だ」という告発で終わってたのですが、ここにきて、告発ではなく、そういう現実を踏まえた上で、そこから希望の目を見つけ出そう、という方向に映画たちは動き始めたようです。
今回のボンドも、報復に凝り固まった心の地獄を、紅蓮の炎の中で浄化して行きますし。
ここに「リセット」というキーワードが浮かび上がります。

その前に見たのは『ワールド・オブ・ライズ』で、これは役作りのためにブヨブヨと太ったラッセル・クロウが「いつも家族の面倒を見ながら本当は大嫌いな中東で行われている秘密工作」に指示を出し続けるCIA」という設定で、いま現在のアメリカを体現させておりました。
現場でそんな上司からの命令を受けながら、危険に身をさらしている「アメリカの若者たちの姿」はレオナルド・ディカプリオが体現しております。アメリカの利益しか考えないラッセル・クロウと、中東の平和を願って行動するレオ。レオの思いは純粋だけど、指示を出している上役はろくでもない、という「いまのアメリカの歪み」は、しかしアメリカでもヨーロッパでもない弱小国の知恵によってリセットさせられて行きます。

DVDで見た『帰らない日々』は交通事故で愛する息子を奪われた一家と、その事故を引き起こしたやはり息子を持つ父親の対決を描いていました。物語はそのまま「報復は悲しみを埋めてくれるのか」という問いかけです。答えはノーだとわかっているのに、それでも「復讐を」と思い詰めてしまう人の心をリセットする方法を探そう、と映画は語るのであります。

ほかにも、いろいろと「リセットの時代」というキーワードで見て行くと、なるほど、と思う映画たちがいまさかんに公開されております。

アメリカの大統領就任式を包んでいた空気もこの「リセット」という気分でしたしね。
金融関連のニュースも、「資本主義そのもののリセット」が始まっていることを告げていますし。

世界は終わらない。終わる代わりにリセットされる。

そういうことなんでしょう。
そして、それはもちろん「より良い世界へのリセットである」と、ぼくは思っています。