数奇

というのは辞書的には「不運な」という意味だと思うし、
文学的には「数奇な人生」といえば「一般の人には経験できないような変転の激しい人生」というニュアンスだと思う。

なので

数奇な人生 というのは、映画の内容に即したサブタイトルとは言えない気がします。
奇妙な人生 ならありだと思うけど。

と、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』という邦題はは、やっぱり「?」かな。

ボタン屋のバトン氏 なんて洒落にもなってないし、おとぎ話の気分も損なわれるじゃない?

そいう難癖はともかくとして、この映画、好きです。
ハリケーン・カトリーナをファンタジーの背景として使えるようになったことも感慨深いですし。(いつか、911もファンタジーの背景として使えるようになる日も来るでしょう。原爆からだって、『ふたりのイーダ』が生まれたんですものね)

ひとりの風変わりな男の人生に、近代史のエポックが重なる構成は、フォレスト・ガンプの脚本家らしいシナリオです。
ガンプの時は天使の白い羽根が効果的に使われていましたが、今回は同じ役目を天使のようなハチドリに与えておりました。