消されたヘッドライン・加筆あり

かなり複雑で長い物語をコンパクトにまとめて、しかもダイジェスト版という見え方にはしていないのは
さすがです。
脚本が
マシュー・マイケル・モナハン(『キングダム・見えざる敵』『大いなる陰謀』)
トニー・ギルロイ(『ボーン・アルティメイタム』『〜スプレマシー』『フィクサー』)
ビリー・レイ(『アメリカを売った男』)
という布陣ですものね。

硬派にぐいぐいとストーリーを前に進めて行き、見事な脚色でございました。

基になったテレビシリーズにあったユーモア部分をごっそりそぎ落としたのが成功だったのでしょうね。
でも、テレビの時の、ビル・ナイ編集長のほうがぼくは好きだったけどね。



こっから、加筆 ↓



それと、邦題ですが
消されたヘッドライン』だと「闇に葬られた真実」というニュアンスになりますが、これは「掲載されるはずだったヘッドラインを変更して、真実のヘッドラインに差し替える」という物語ですから、せめて「書き換えらたヘッドライン」あるいは「ヘッドラインを書きかえろ!」が妥当ではないのかしら。
消されたヘッドライン、のほうがタイトルとしての据わりはいいけど、でも内容にはそぐわない。
テレビの時は「陰謀の構図」というタイトルでした。
こちらはコロンボのタイトルみたいで、いかにもNHKな感じでした。
原題は「STATE OF PLAY」ですから、「ゲームの進捗状況」って感じ? これは「事件の様相が刻々と変わって行く」というこの物語の内容を的確に伝えてるんですけどね。
マスコミというのは、トランプの手札がすべて明かされる前に、最終的なカードを読み切らないといけない。いち早く場に置かれているカードを読み切れれば、それはスクープになるけれど、最後の最後にすべてをひっくり返すジョーカーが潜んでいるかもしれない。
そんなあやうさな中で、「これが真実だ!」と誰よりも早く、場にチップをドンと置けるかどうか、そんな新聞記者という仕事の有り様を、原題は伝えているんだけど、テレビ版の邦題にも、映画版の邦題にも、そう言うニュアンスはなくなっちゃいました。