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擬装結婚

というテレビドラマが昔あって、それがぼくの脚本家としての隠れデビュー作であった。
なんで《隠れ》なのかというと、作家の先生の台本が遅れに遅れ、結局撮影に間に合わないと言うことがあって、プロデューサーさんが代わりに書いていたのだけど、ぼくが使えないADとして、それに参加していて、お前、シナリオ書きたいんだろう、ならこのシーン、お前が書け、と言われ「はーい」と言ってパパッと書いたら、それが採用されたのだった。

もちろんぼくの名前はクレジットなんかされてないけど、そのシーンを演じたのは主演カップルの藤竜也さんと大原麗子さんだったので

この二人がぼくの書いたセリフを喋る、というだけで嬉しかった。

「このセリフ、面白い.誰が書いたの?」
と言ってくれたのが、大原さん。
で、スタッフがぼくを指さして、ぼくのほうを見た大原さんは「え」となっていた。
というのも、ぼくは大原さんにとって、この番組のガンのような、まったく役立たずで礼儀知らずの新米AD、という認識だったから。
それも当然。
撮影中に「演技がなってない!」と主演女優にむかって言い放つADなど、現場で許されるはずもないのに、それをしてしまったぼくなのだから。

というわけで、そんな「史上最低のAD」と言われたぼくがこんなことを言うのは心苦しいのですが、

ご冥福をお祈りいたします。