マイレージ・マイライフ

ようやく見てきました。

これは

「いままで生きてきて、いちばん幸せだった時のことを思い出してみろ。その時、君はひとりだったか?」

というたったひとつのセリフを語らせるために用意された物語。
そのシーンに登場する絵本が「ビロード色のうさぎ」だなんて、ワタクシは「恐れ入りました」と感服しましたよ。

ビロード色のウサギは
クリスマスの日に坊やにプレゼントされたヴェルヴェットのウサギの縫いぐるみのお話。
坊やはそのウサギが大好きになって、いつも一緒、手から放しません。どんなにボロボロになっても「ふたり」はずっと一緒です。
ウサギは古い木馬から「子供に本当に愛されたらオモチャは本物になる」という「子供部屋の魔法」を教えられる。
だからウサギはいつか本物になって、坊やとずっと一緒に暮らすんだと夢見てる。
けれど、坊やが病気になり、坊やが触ったオモチャはすべて焼きなさいと医師が告げる。
療養のため旅立つ坊やに、うさぎは自分も一緒に行けるんだと信じているのだけど……。

と、こんな感じの物語。(じつは『トイストーリー』のアイデアの基になっているのが、この童話)

誰かと一緒にいることの幸せ。
誰かに愛されることではじめて「本物の人生」がはじまる、という「魔法」

そういうことを語る絵本がこのシーンに登場するんだよ。映画はいつだって、セリフだけではなく小道具や壁の色や着ている服や窓の外を吹く風や、様々な物を駆使して「伝えたいことが見ている人の頭ではなく心に届くように」と願って造られています。

このシーンを見ながら、もう一度、そんなことを確認したのでした。

ラストでは

「行くところはいくらだってある。帰るところがないだけ」
という
『暗くなるまで待てない』という自主映画のセリフを思い起こしていました。