空想という名のリアル

ニューデリー(CNN) インド東部で英国企業の鉱山開発プロジェクトが持ち上がり、先住民がその阻止を訴えるという、映画「アバター」さながらの対立が起きている。先住民支援団体は、アバターを製作したジェームズ・キャメロン監督にも応援を求めた。

先住民支援団体の英サバイバル・インターナショナルによると、インド東部オリッサ州で資源大手の英ベダンタ・リソーシズが鉱山開発を計画。これに対して同地の先住民ドングリア・コンド族は聖なる山を守るため、計画を食い止めようとしているという。

ベダンダのプロジェクトについては国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルも「何百年もの間この地に住んできた先住民8000人強の生存そのものを脅かす」と非難する報告書を発表した。

サバイバル・インターナショナルは米映画情報誌のバラエティに意見広告を掲載し、キャメロン監督にドングリア・コンド族支援を求めている。監督から返事があったかどうかは明らかにしなかった。同団体のウェブサイトに掲載されたビデオ声明では、若い男性が「ベダンタによるわれわれの丘の乗っ取りは許さない。ベダンタがわれわれの山の一部でも採掘することは許さない。われわれの水にも触れさせない」と訴えている。

こうした批判に対してベダンタ側は、「今回のプロジェクトは人権を最重視して計画されたもので、オリッサ州の地元経済、特に未開発地域に大きな活気をもたらす」と反論。インドの規制や司法手続きはクリアしていると強調した。

しかし、同社の大株主だった英国国教会はこのほど、地元への影響が懸念されるとして、持ち株を売却している。


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『アバター』で描かれていたことはリアル世界では毎日世界のどこかで起こり続けているし、『第9地区』もそうだ。
一本の映画に対して、その出来具合や好き嫌いばかりが話題になるけれど、そこで描かれていたこと、その問題意識に対してどう答えて行くのか、ということはあまり語られない。
映画を見る。ということが「面白かった」や「つまらなかった」を超えたパワー、リアル世界を変えて行く力になってくれたらいちばん素敵なのに。